オーデマ ピゲジャパン
代表取締役兼CEO 麦野 豪氏に聞く
―CEOに就任された最初の課題は何だったのでしょうか?
大きな課題が3つありました。
1つめは、「ブランドのリポジショニング」です。 APは60歳以上の人が持つ時計という日本におけるイメージを払拭し、30代−40代が欲しいと思うブランドに変えていきました。ターゲットを60歳以上から30―40代に変えた理由は、30−40代が好むブランドは、20代にも、50代以上にも受け入れてもらえる幅の広さがあるからです。
2つめは、「販売チャネルの再構築」。日本国内の140店舗のうち、90店舗をクローズしました。それまで商社任せで統制が取れなかった販売方法を見直し、販売店との堅実なパートナーシップを再構築していきました。
そして、その2つを成し遂げる中核となる最も重要なことが、3つめの課題、旗艦店(フラッグシップショップ)を立ち上げることでした。
―今年の7月12日、それが実現したわけですね。リポジショニングに当たっては、どのような広告展開をされたのでしょうか?
今まで時計の広告というと、時計そのものを見せる方法が普通でした。しかし、APでは、時計業界で初めて、雑誌の16ページを使い、時計だけでなく、使っている人のライフスタイルを見せていったんです。30―40代の人が広告を目にして、かっこいいな、欲しいなと思う見せ方を、雑誌や銀座の駅貼り広告、様々なイベントで展開していきました。取り組んで約1年弱、2006年にはターゲット層に対するブランドバリューが一気に上がりました。
―麦野さんにとって「ブランドバリュー」の定義とは、どのようなものでしょうか?
そのブランドを知っていること、それだけでは足りない。 それを「欲しい」と思うことです。APの時計は知っている、でもそれってお父さんのブランドだからいらない、今まではそんな30−40代が多かったんです。どんなに知名度が高くても、欲しいと思われなければ、私にとって「ブランドバリューがない」ということになります。いかにターゲットの顧客層に欲しいと思っていただけるか、それが「ブランドバリューを上げる」という、私の大事な仕事でした。
―次の目標について教えていただけますか?
ターゲット顧客層が「時計を買おう」
と思って、その中からAPを選んでいただくのではなく、欲しいものリストのなかに「APが欲しい!」と思って頂けるよう、より一層ブランドバリューを上げる努力をしていきます。
―APという会社のカルチャーについて教えていただけますか?
APは、常に新しいものをつくることによって、歴史を培ってきたブランドです。ステンレスの高級時計は、今では当たり前ですが、それを最初に出したのがAPでした。誰も先が見えない未来に向けて、自ら切り拓いていこうとするマインドを持っている人にはめちゃくちゃ楽しい会社だと思いますよ。突拍子のないことを奨励する、それがAPのカルチャーですし、僕がAPを選んだ理由もそこにあります。
キャリアアップを目指す後輩たちへのアドバイスを、ぜひお願いします。
会社というのは、自分の1日の生活の約半分を費やす場所です。そこを選ぶ基準でいちばん大事なのが、カルチャーだと思うんです。自分がやりたいことを実現できるかどうか、それは会社のカルチャー次第です。良いか悪いかではなくて、自分に合うか合わないかの問題で、合わなかったら、会社も自分も、お互いに不幸な結果になってしまいます。人生何十年と生きて多くの人に会ってきたら、その会社のカルチャーに自分が合うかどうか、ぴんと来ると思いますよ。転職に当たっては、面接のときに、どうかその感覚を大切にしてほしいですね。
プロフィール
オーデマ ピゲジャパン
代表取締役兼CEO
麦野 豪氏
1965年生まれ。94年、MBAを取得後、日本の総合商社のシカゴ支社に3年間駐在。98年より、外資系企業数社において、営業、マーケティング業務に携わる。2005年3月、オーデマ ピゲ ジャパン株式会社の代表取締役兼CEOに就任。2007年7月12日、旗艦店を銀座にオープンした。
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