「キャリアアップには、直線だけでなく、ジグザグの道を歩くことも大切」と話すベルナルディノ氏は今、3社目の転職先となったレッドブル社で、自身2度目の社長職に奮闘中だ。「一企業内だけの経験では限界がある。自分の成長のためにも新たな挑戦が必要だった。転職は自分の力を試し、新たな可能性を広げるきっかけにもなる」
創業20年になる同社は2桁成長を続ける世界企業だが、日本では“新顔”。しかも、"エナジードリンク"というカテゴリー自体も耳新しい。「一日も早くブランドイメージを確立し、知名度を上げることが最優先。そのための実践的な戦略と長期的な努力が必要だった」と初年度を振り返る。
その手法は、レッドブル社ならではの「マーケティング・ミックス」。商品の魅力を伝え、口コミによる相乗効果を狙ったさまざまな活動を複合的に展開する戦略だ。たとえば、グローバルなブランド化を意図した「世界共通のキャッチフレーズと個性的なCM」をはじめ、スポーツや文化イベントの積極的な開催、また1缶275円と高めに設定した価格の妥当性を裏付けるため、製品の機能性を説明する「サンプリング」や「リーフレット配布」によるプロモーション活動。さらには、ブランドイメージを高めるためにコンビニエンスストアに限定した販売体制や、クールでファッショナブルなノンアルコール飲料としてのイメージ定着を意図したバーやクラブでの展開などである。
社長はまた、「消費者の知識レベルが高く、新規参入は世界一難しい」とみる日本市場への進出には、「タレントの起用も効果的」と判断、プロサッカー選手宮本恒靖氏に白羽の矢を立てた。「レッドブルグループとしては初の試み」だったが、地元オーストリアのザルツブルグチームの所属でもあり、奏功した。
新会社の足場固めには人材確保も重要だ。スタッフに求める第一条件は、「ブランドの価値を理解できること」。レッドブルは1商品で勝負する、世界でも類を見ない販売戦略をとる。ブランドは社にとって、「唯一かつ、全財産」だからだ。
加えて、スポーツなどアクティブライフを好み、柔軟性に富んだ「遊び心」を持ちながら、
強い責任感で目標に邁進できる「プロフェッショナリズム」も不可欠。「それが、"Red Bull Sprit"」と微笑む。
「今はまだ種まきの時期。早くブランドを確立し、日本の飲料業界を変えたい」と意気込む社長。5月からは
アマゾン(Amazon.co.jp)
でのオンライン販売も始まり、新たな市場開拓にも余念がない。「ファンタスティックな夢としては、空のF1と呼ばれる、『レッドブルエアレース』の日本での開催。すでに準備を始めています」
ジグザグのキャリアを積み重ねてきた社長が率いるレッドブル社。順調に成長を続ける道のりの先には社長がたどってきたのと同じ、変化と刺激に満ちたジグザグの道が待ち受けているはずだ。
プロフィール
レッドブル・ジャパン株式会社・代表取締役
ジャン・ピエール ベルナルディノ氏
ポルトガル生まれ。パリのHECビジネススクール在学中に、一橋大学に1年間の語学留学。卒業後の1989年、化粧品メーカーのL’OREAL 社に入社し、日本支社を中心に勤務。99年には食品メーカー、Danone社に転職。日本企業2社とのジョイントベンチャー事業に尽力後、2006年から現職。
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