「女性のトップの方も増えてきましたが、男性に比べると、歴史はまだまだ浅いですよね。長い年月をかけて、男性は社会で働く、女性が主婦として家庭を守る、というそれぞれの"役割"ができあがってきたわけです。そして、女性にも社会で働くチャンスができた今、私たちより長く社会で働いている男性から学ぶことがたくさんあると思うんです。」

山口さんは、「戦うぞ」と、男性に対抗意識を持って仕事に臨んだわけではなかった。「自分が社会で何をしたいのか」という、社会人であったら誰もが持つ、ごく普通の課題をこなし、その努力が管理職として実を結んだ。

「社会に出ていけば、女性蔑視の考え方にぶちあたることもあります。でも、それに対して、男性蔑視の意識で戦いたくはなかったんです。男性の得意な部分、女性の得意な部分というのがそれぞれあって、それを尊敬する気持ちが大切なのだと思います。そうすれば、男性だけ、女性だけでは生まれなかったようなパワーが生まれて、それが新しい仕事につながっていくのではないでしょうか」

朝は6時に起床。旦那様と娘さん、家族3人で朝食を済ませ、3人一緒に家を出る。職場に着くのは午前8時から8時半の間。仕事を終えて、午後8時半頃に、託児所で待つ娘さんを迎えに行く。家族一緒に夕食、団欒するのが9時半頃。11時には就寝。タイトなスケジュールだが、家族と一緒に過ごす時間を大切にしている。「夕食は私が準備しますが、朝食は夫が作ってくれるので、おかげさまで髪をきちんとブローすることができるんです。」と笑いながら語る表情には、「男性に頼らず、家庭も持たず、バリバリと働く」という、ひと昔前にあった、キャリアウーマンのステレオタイプを打ち消してくれる和やかさがある。

「女性に限らず、仕事優先、結婚はしない。そういう意見があっても当然です。 物理的な問題や、その人の考えがありますから、今の自分のやり方が他の方に当てはまるとは思っていません。 ただ、社会で働くことも、結婚も、子供を持つことも、私にとっては普通の選択でした。 仕事と家庭は2足のわらじとも思っていませんし、全部含めて1足です」。 仕事のストレス解消は、掃除機をかけること。ときおり、娘さんにもほろりとグチをこぼすこともあるとか。そんなバランス感覚が、山口さんのライフスタイルを保つ秘訣であり、管理職としての才覚でもあるのだろう。

次回は、山口さんのキャリア、管理職としてのモットーについて、お話を伺いたい。



プロフィール
ラグジュアリーウォッチディヴィジョン・
取締役ジェネラルマネージャー
山口 美穂氏

日本出身。米国の州立大学でジャーナリズム・コミュニケーションを専攻。卒業後、日本に帰国。米広告代理店日本支社、その後、高級宝飾、エンターテイメント、米アパレル業界等でマーケティングコミュニケーションのエキスパートとして活躍。現在は大手ラグジュアリーグループ傘下のラグジュアリーウォッチディヴィジョン 取締役ジェネラルマネージャー。 12歳のお嬢さんをもつお母さん。
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